太古の昔から現在までそのまま残っている森が、四季折々見せる自然の姿を間近で楽しむことができる自然教育園。一般の人が入場できる施設としては、港区最大の面積を誇るグリーンスペースです。中世の頃からここにあるという森林は、国内でも非常に貴重なもので、4〜500年前には白金長者と呼ばれた豪族の館跡、江戸時代には高松藩主松平頼重の下屋敷、明治時代には陸海軍の火薬庫、大正時代には宮内庁の白金御料地という、幾多の歴史を経てきた場所でもあります。この期間は一般の人々は立ち入ることができませんでしたが、1949(昭和24)年に天然記念物および史跡に指定されると同時に、「自然教育園」として一般公開されるようになりました。
正面の入口を入ってすぐの展示ホールで、今の季節に見られる植物や野鳥の種別を確認します。カルガモなど一年に渡り園内で繁殖している鳥たちに加え、今の時期はモズや北の地方から渡ってくるヒヨドリの姿も見られます。また、この時期は秋ならではのススキが咲き乱れる様子も楽しめます。
展示ホールを抜けて、森の中へ。散歩道の両脇には落葉樹が多く、木々が落とした枯れ葉を踏むサクサクと音は心地よく、歩いていても、風に乗って時折はらりと葉が舞い降りてきます。人の手は一切入れないという考え方の元に、完全に自然の状態に保たれているこの森の総面積は約6万坪(東京ドーム約4.4個分)という広さで、約700種の植物、約1400種の昆虫、約120種もの野鳥が園内に生息しています。
分岐点を左に折れると、かつてここに居を構えていた「白金長者館跡」が見えてきます。うっそうと茂るシイの木の葉陰からは、優しい秋の光がこぼれています。すぐ先には、水鳥の生態が観察できる「水鳥の沼」があり、つがいのオシドリが羽を休めていました。そのまま道なりに歩いていくと、大きな「おろちの松」があります。これは、樹齢約300年とも言われ、松平頼重の下屋敷だった頃からここにあるのだとされています。
分岐をまっすぐ進むと、きれいな落ち葉やどんぐりがたくさん落ちている「森の小道」に入ります。落葉樹林帯や松林があり、木の香がたちこめる一方で、ここにある草原では、ヒメジョオンやヤマハギが可憐な花をつけている姿も見られます。
|