中小企業お役立ち大百科

固定残業とは

「固定残業代」とは、毎月決まった金額をあらかじめ見込んで残業手当として、実際の残業の有無にかかわらず支給する制度のことです。定額残業代ともいわれ、人件費抑制や支払い事務の負担軽減を目的とした導入事例が広がっています。一定の要件を満たす限り、適法であり、有効な制度ですが、不適切な運用から労使トラブルを招くケースも増えています。

 従業員の勤務時間が見込みの残業時間を超えた場合、事業者には超過分の割増手当を払う義務が生じるにもかかわらず、いくら働いても定額分しか支払わなかったり、見込み額をあいまいにして残業代をごまかしたりするなどの悪質な法律違反が後を絶ちません。

 平成29年(2017年)7月7日に下された最高裁判決を受け、定額残業制についての残業代支払に関する通達が7月31日付で出され、適切な残業代支払についての理解がさらに進むことが期待されています。通達の名称は「時間外労働等に対する割増賃金の適切な支払いのための留意事項について」です。

 固定残業代(定額残業代)」は、それ自体が違法なわけではなく、労働基準法や労働問題の裁判例にしたがって、適法に運用すれば、全く問題のない制度です。
基本賃金等の金額が労働者に明示されていることを前提に、例えば、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金に当たる部分について、相当する時間外労働等の時間数又は金額を書面等で明示するなどして、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に区別できるようにしているか確認すること。
割増賃金に当たる部分の金額が、実際の時間外労働等の時間に応じた割増賃金の額を下回る場合には、その差額を追加して所定の賃金支払日に支払わなければなりません。
そのため、使用者が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を遵守し、労働時間を適正に把握しているか確認することが重要です。

 固定残業手当を導入するためには、就業規則、賃金規程、労働契約などにおいて、明確に定めてあることが必要です。何の定めもない場合や、割増賃金の額が不明確な場合には、「基本給の中に割増賃金が含まれている」という主張自体が認められません。
固定残業手当を導入する際には、その手当の名称ではなく、その手当の支給要件として、「時間外割増賃金相当分として支給する。」というような、明確な定義が必要になります。
また、募集要項や求人票の「固定残業代」を含めた賃金表示をめぐるトラブルが見受けられます。若者が就職先の企業を選択する際には、正確な労働条件の表示が重要であり、「若者雇用促進法」に基づく指針でも、「固定残業代」について適切な表示をするよう定めています。固定残業代を賃金に含める場合は、
①固定残業代を除いた基本給の額
②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
③固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
の記載が必要となります。

 特に、新卒者に対して若者雇用促進法により、青少年が応募する可能性のある募集又は求人について、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金を定額で支払うこととする労働契約を締結する仕組みを採用する場合は、名称のいかんにかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金に係る計算方法(固定残業代の算定の基礎として設定する労働時間数及び金額を明らかにするものに限る。)、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと等を明示しなければなりません。

厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

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