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昭和5年の創業以来、作品を生かすための最適なデザインを第一義に、古き良き物を残し、時代にあった額装を製作し続けている高級額装店が赤坂にあります。絵画だけにとどまらず、美術品全般を美しく見せることで定評のある多聞堂です。
「先代は、当時の建築が日本家屋から現代の建物へと移行していくなかで、『その中に飾られる美術品も様式を変えねば美しくない』という理念を持っていました。これまで掛け軸にかけられていた絵画や書を西洋の様式を取り入れて、額で装飾し、床の間のない現代建築の中に飾るという日本で最初の試みをしました。これが、建築まで含めた美と空間の演出を行うということで認められたんです」と語るのは、二代目となる岡村孝三郎さんです。先代が築いた美術額装の理念を現在に生かしながら、その領域を広げています。
多聞堂がいかに優れた美術額装を製作してきたかは、国の重要文化財をはじめ、宮内庁、日本の文化を発祥する歌舞伎座、国立劇場、国宝である法隆寺の大壁画など多方面
にわたって仕事を行っていることからもうかがえます。
また多聞堂は、絵画修復にも絶大な信頼が寄せられています。それは、先代のもとで修行中であった21歳のとき、岡村さんが日本の建築が西洋化していく時代を見越して、5年間イタリアとフランスに修行の地を移したことによっています。まだ昭和30年代はじめ、海外渡航も自由ではなかったころです。
「西洋画の額装を本場で勉強するために留学生として派遣されたのです。向こうでは、額装とともに絵画の保存・修復についても学びました。日本にはない技術のほか、たくさんのことを学びましたね」
その技術は、昭和55年に梅原龍三郎画伯の作品数十点が傷つけられるという事件が起こったときに発揮されました。すべての作品の修復を岡村さんが手がけ、画伯の画を見事に甦らせました。また、国会議事堂の壁画の修復も担当しています。
「日本には表装の技術があり、しっかりした修復の伝統があります。私は日本の技術と西洋のいいところを合わせています」これは、技術の確かさと長年の経験に裏打ちされた言葉です。岡村さんの知識と技術は、現在三代目となる息子さんが受け継いでいます。美術額装は枠を超え、新しい芸術の域に達しています。
●岡村多聞堂のアドレス http://www.tamondo.co.jp/
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